【第26回】「PR」を書かないと違反になる|ステマ規制(嫁子が教えるマーケ講座)

今回のゴール

法律の回の2つ目です。第25回の景品表示法の中に、この規制も入っています。全体の流れは講座の目次へ。

この回の内容は2026年9月時点のものです。 判断に迷ったら法務か社外の専門家に相談してください。


嫁子: 今日のテーマ、買う側からすると一番腹が立つやつだよ。

広告だと分かってれば、そのつもりで読むの。隠されてたと後から知るのが嫌なんだよね。


1. 何が禁止されたのか

2023年10月1日から、広告なのに広告だと分からない表示が景品表示法違反になりました。

正式には「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」といいます(令和5年内閣府告示第19号)。景品表示法第5条第3号が根拠です。

(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」・2026年9月時点)

第25回の優良誤認・有利誤認は内容が嘘であることが問題でした。今回は違います。内容が本当でも、広告だと分からなければ違反です。


2. 規制されるのは事業者です

ここが最初の誤解ポイントです。

規制の対象は、商品やサービスを売っている事業者です。投稿したインフルエンサー本人ではありません。

つまり、依頼して投稿してもらったのに表示が無かった場合、責任を問われるのは依頼した側です。「相手が書かなかった」は通りません。

だから実務ではこうなります。依頼するときに、表示の方法まで指定してください。

嫁子: 私が投稿する側だったら、逆に書いてほしいって思うかも。

だって黙って宣伝してたって思われるのが一番きついでしょ。会社のほうから「PRって書いてください」って言われるほうが、気が楽だと思うよ。


3. 依頼していなくても対象になる

ここが一番重要なところです。

消費者庁の考え方では、事業者が明示的に依頼・指示していなくても、事業者と第三者の間にその第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があれば、事業者の表示として扱われます。

何が言いたいかというと、「頼んでいません」では済まないということです。

うちの会社で確認したのは、こういう場面でした。

場面 危ないところ
社員が自社サービスを褒める投稿をする 会社と社員は当然その関係性にある
作業員に「よかったら投稿して」と言う 立場の上下がある
口コミ投稿に特典をつける 対価を渡している
商品を無償提供して感想をもらう 対価を渡している

3番目と4番目は、実際にやっている会社が多いところです。割引や無償提供も対価にあたります。

対策は難しくありません。関係があることが読む人に分かる状態にすればいいだけです。


4. どう書けばいいか

消費者庁は、事業者の表示であることが明瞭になる記載として、たとえば「Z社から依頼を受けて投稿しています」のように書くことを挙げています。

実務では、次の3点に気をつけてください。

⚠️ 判断に迷う書き方は使わないでください。 「〇〇さんから素敵なものをいただきました」のような書き方は、広告だと分かるとは限りません。

嫁子: 書き方で言うとね、投稿の一番下に小さく書いてあるのは、ほぼ見てないよ。

最初の1行に書いてあれば、ちゃんと分かるの。そのうえで良さそうなら普通に見るから、隠さなくていいと思う。


5. 自社サイトの口コミ欄はどうか

よく聞かれるところなので書いておきます。

自社のサイトに載せている「お客様の声」は、事業者の表示であることが明らかです。自社のサイトなので、読む人も広告だと分かっています。

問題になるのは次のような場合です。

3番目は論外ですが、1番目と2番目は悪気なくやってしまうことがあります。良い口コミだけを載せるのは普通の行為ですが、「全お客様の声」のような見せ方をすると別の問題になります。

うちでは、表現を「いただいた声の一部を掲載しています」に変えました。事実をそのまま書くだけで、たいてい解決します。


6. AIに任せるとき

投稿文の下書きには使えますが、2つ気をつけてください。

PR表記を自動で付けてくれると思わないでください。 「インスタの投稿文を作って」と頼むと、PR表記なしの文面が返ってきます。指示に入れるのは自分です。

依頼文のひな形を作らせるのは有用です。 インフルエンサーや協力者に渡す依頼文に、表示のお願いを必ず入れた形で作れます。

もう1つ、第25回と同じ注意です。⚠️ 「この投稿はステマ規制に抵触しますか」とAIに判定させないでください。関係性の有無は社内の事情なので、AIは知りません。

使える頼み方はこうです。

  1. 依頼文のひな形を作らせる(表示のお願いを含めた形で)
  2. 自社の口コミ掲載ルールを渡して、抜けを指摘させる
  3. 投稿文の下書きに、自分でPR表記を足す

つまずきポイント

過去の投稿も見直してください。 規制が始まる前の投稿が残っていることがあります。

代理店に任せている場合も、責任は自社に残ります。 2節の通りです。

社内への周知を先にやってください。 営業や現場が善意で投稿することがあります。ルールを知らないと防げません。


今回のまとめ


次にやること

法律の回の最後は集めた個人情報をどう扱うかです。第18回で「AIに顧客情報をそのまま渡さない」と書いた話を、正面から扱います。

今回の宿題:自社のSNS投稿と、協力者に渡している依頼文を確認して、表示のお願いが入っているかを見てください。入っていなければ、今日直せます。

嫁子: 最後にひとつだけ。PRって書いてあるから買わない、ってことはないよ。

良さそうなら買うの。隠されてたと分かったときに、その会社ごと信用しなくなるだけだよ。

だから正直に書くのって、法律のためだけじゃなくて、普通に商売のためだと思う。