【第12回】サービス業は「人」が商品になる|4Pと7P(嫁子が教えるマーケ講座)

今回のゴール

第11回まででターゲット・ベネフィット・ポジション・価格が決まったので、今回はそれを並べ直します。全体の流れは講座の目次へ。


嫁子: 今日は、ここまでやったことの整理の回だね。

ただしサービス業は4Pだけだと足りないの。そこが今日の本題だよ。


1. 4Pは「売り手側の持ち物リスト」

4Pは、自分たちが動かせるものを4つに分けた枠組みです。

P 中身 この講座のどこ
Product(商品) 何を売るか 第9回
Price(価格) いくらで売るか 第11回
Place(流通) どこで買えるか 次回から
Promotion(伝達) どう知らせるか 第4部

新しい概念ではなく、ここまでやったことの置き場所だと思ってください。

会議で「4Pで整理して」と言われたら、この4つの枠に自社の決定事項を並べるという意味です。埋まらない枠があれば、そこが決まっていない場所です。

うちは Place が空白でした。 ハウスクリーニングは店舗がないので、何を書けばいいか分からなかったのですが、実際には「電話のみ受付・平日9〜18時」という重大な制約がありました。これは次回のチャネルの話につながります。


2. サービス業で3つ足りない

4Pは、もともと物を売る前提で作られた枠組みです。

物なら、工場で作って、箱に入って、店に並びます。誰が作ったかは買う側に見えませんし、買う前に手に取って確かめられます。

サービスは違います。

物 サービス
作る場所 工場 お客さんの目の前
買う前に確かめる できる できない
品質のばらつき 小さい 担当者によって変わる
在庫 置ける 置けない(空いた時間は消える)

この違いを埋めるために足されたのが、残り3つのPです。


3. 足される3つのP

People(人)

サービス業では、担当者そのものが商品の一部です。

うちで実際に起きたことです。同じ作業内容、同じ料金でも、口コミの評価が担当者によってはっきり分かれていました。技術ではなく、靴を脱ぐときの所作や、作業前の説明の有無で差がついていました。

営業から来た人には、これは実感があるはずです。同じ商品を売っても、担当者で結果が変わるのを見てきているからです。その現象がそのまま商品の評価になるのがサービス業です。

嫁子: これ、私が一番見てるところかも。

技術が高いかどうかは分からないけど、感じがいいかどうかは3秒で分かるの。

第2回でLTVの話をしたときに「前回の担当者を指名できるか」って言ったでしょ。2回目を頼むかどうかは、たいてい人で決まってると思うよ。

Process(提供の流れ)

申し込みから作業完了までの手順そのものが、選ばれる理由になります。

うちのベネフィット3つを思い出してください。

3つとも、掃除の技術ではなく手順の話です。第9回で効いたのがこれだったのは、偶然ではありません。サービス業では、手順を変えることが商品を変えることと同じ意味を持ちます。

Physical Evidence(目に見える証拠)

買う前に確かめられないので、代わりになるものを見せます。

見せるもの 何の代わりか
作業前後の写真 仕上がりの品質
スタッフの顔と経歴 誰が来るかの不安
使う道具と洗剤の一覧 作業内容
損害保険の加入 失敗したときの補償

うちで一番効いたのは作業前後の写真でした。第11回で「品質が事前に分からないから値段で読まれる」と書きましたが、写真はその代わりになります。

見えないものを売るときは、見えるものを用意するということです。


4. どのPが弱いかを点検する

7つ並べて、自社の弱いところを探します。うちでやるとこうなりました。

P 状態
Product ✅ ベネフィットを書き直した
Price ✅ 定額にした
Place ⚠️ 電話のみ・平日日中だけ
Promotion ⚠️ 何を出すか決まっていない
People ⚠️ 担当者で評価が割れている
Process ✅ 留守対応と事前確定
Physical Evidence ⚠️ 写真が3枚しかない

弱いところが4つ見つかりました。 大事なのは、この中で一番安く直せるのが Physical Evidence(写真を増やす)だということです。

People を直すには研修が要り、Place を直すには受付体制が要ります。写真は今日から撮れます。

どれからやるかの判断は第24回で扱いますが、並べてみないと安い手が見つからないという点だけ先に言っておきます。


5. AIに任せるとき

7Pの枠に自社の情報を整理させるのは、素直に使えます。「以下の情報を7Pに分類して」で形になります。

任せてはいけないのは評価です。「うちの People は強いですか」と聞いても、判断材料を持っていません。

弱いところを見つけるのは、次の3つを自分で見ます。

  1. 口コミの低評価(People と Process がここに出ます)
  2. 失注理由(Price と Place が出ます)
  3. 問い合わせ前に見られているページ(Physical Evidence の不足が出ます)

そのうえでAIに渡せば、分類と、抜けている項目の指摘が返ってきます。

もう1つ実用的な使い方があります。同業5社の情報を7Pに分類させて、自社と並べるやり方です。第10回でやった「区別がつくか」の作業を、7つの枠で細かくやることになります。


つまずきポイント

4Pか7Pかで揉めないでください。 物を売るなら4P、サービスなら7Pというだけの話です。会議で用語の正しさを争う意味はありません。

7つ全部を同時に直そうとしないでください。弱いところが4つあっても、手をつけるのは1つか2つです。

Place を「店舗」と読んで空欄にしないでください。どこで申し込めるか、いつ受け付けているかがここに入ります。


今回のまとめ


次にやること

次回はAIが書いたコピーが薄くなる理由です。第3部の最後で、ここまで決めたことを言葉にする回になります。

今回の宿題:7つの枠に自社の情報を並べて、空欄と弱いところに印をつけてください。印がついた中で一番安く直せるものが、来週やることです。

嫁子: 今日のでひとつ持って帰るなら、人のところだと思うよ。

会社としては一番直しにくいところでしょ。研修も時間もかかるからね。でも買う側にとっては一番はっきり見えてるの。そこが逆になってるのが、サービス業の難しいところだと思う。