【第17回】「バズらせる」を目標にしない|SNSとコンテンツ(嫁子が教えるマーケ講座)

今回のゴール

第16回まででチャネルを2つ見たので、今回はSNSを扱います。全体の流れは講座の目次へ。


嫁子: 今日はね、私が一番当事者の回だと思う。

インスタは毎日見てるからね。企業のアカウントをどう見てるか、正直に言うよ。先に結論を言うと、ほとんど見てないの。


1. 「バズらせてください」と言われたら

異動して2か月目に、上司から「SNSでバズを狙えないか」と言われました。

このとき困ったのは、バズが何を指しているのか分からなかったことです。拡散されることなのか、売上が増えることなのか。

先に整理しておきます。

言葉 何が起きるか
バズる たくさんの人に見られ、拡散される
売れる 買う可能性のある人に届き、行動が起きる

この2つは重なることもありますが、別物です。

うちのような地域のサービス業なら、はっきりします。全国で10万回見られても、うちが作業に行ける範囲の人が何人いるかが問題です。第4回で決めたターゲットに届いていなければ、数字がどれだけ大きくても事業にはつながりません。

見られた数ではなく、誰に見られたかを見てください。


2. 当人が企業アカウントをどう見ているか

ここは嫁子に任せます。

嫁子: まず前提から言うね。私のタイムラインは、友達と、好きな人と、猫でできてるの。企業の投稿はそこに割り込んでくる形だから、まず邪魔なんだよ。

そのうえで、スクロールを止めるものはあるよ。3つだけ。

① 見た瞬間に結果が分かるもの。 ビフォーアフターの写真とか。読まなくても分かるでしょ。

② 自分がやってみたいこと。 換気扇の油をこう落とす、みたいな短い動画。これは保存するよ、あとでやろうと思ってね。

③ 損したくない情報。 「今月末まで」とか。ただしこれはそのお店を知ってる場合だけね。知らない会社のセールは何とも思わない。

逆に、絶対にスクロールで飛ばすものも言っておくね。

「本日も元気に営業しております」みたいな投稿。誰のための情報でもないでしょ。あと社員の集合写真とか、社長のあいさつとか。悪気はないんだろうけど、私には関係ないからね。

それと、フォロワーを増やすためのプレゼント企画。あれで増えた人、商品には興味ないよ。私も当たったら嬉しいけど、終わったらフォロー外すもん。


3. 目的を3つに分ける

嫁子の話を整理すると、SNSでできることは3つに分かれます。混ぜると評価ができなくなります。

目的 何をするか 見る数字
知ってもらう 保存されるもの、見て分かるものを出す リーチ、保存数
信じてもらう 実績・作業の様子・誰がやるか プロフィールへの遷移
話しかけてもらう 質問への返信、DMの受付 返信数、問い合わせ

うちで実際に効いたのは2番目でした。

第12回で「Physical Evidence(目に見える証拠)が弱い」と診断したのを覚えているでしょうか。写真が3枚しかありませんでした。

作業の前後写真を出し続けたところ、SNS経由の申し込みより、サイトを見た人の申し込みが増えました。SNSで見て、あとで検索して、サイトで確かめてから申し込む、という流れです。

SNSの成果がSNSの数字に出ないことがあります。ここは知っておいてください。


4. フォロワー数を目標にしない

第2回でKPIの話をしました。SNSで一番ずれやすいのがここです。

フォロワー数を目標にすると、フォロワーを増やす施策が正解になります。プレゼント企画、相互フォロー、話題の便乗。どれもフォロワーは増えますが、嫁子が言った通り、商品に興味のない人が増えます。

代わりに見るなら、こちらです。

どれもフォロワー数より小さい数字になりますが、事業とのつながりが強いものです。

会議でフォロワー数を求められたら、「増やすことはできますが、その人たちは買いません」と説明できる材料を持っておいてください。


5. 続かない問題

SNSの一番多い失敗は、炎上でも不発でもなく、止まることです。

最初の1か月は毎日投稿して、2か月目に週2回になり、3か月目に止まる。よくある流れです。

続けるために決めておくことが3つあります。

ひとつは、何を出すかの型を決めることです。毎回ゼロから考えると続きません。うちは「作業前後の写真」と「自分でやる方法」の2種類だけにしました。

次に、出す頻度を守れる数にすること。毎日が無理なら週2回で構いません。止まるより続くほうが価値があります。

そして、誰がやるかを決めること。「手が空いた人が」にすると誰もやりません。


6. AIに任せるとき

投稿文の下書き、写真に添える説明、返信の文案。このあたりは実用です。

任せてはいけないところが2つあります。

ひとつは投稿の判断です。世の中の出来事に絡めた投稿は、AIに判断させないでください。事故や災害に触れた投稿は、意図がなくても問題になります。今その話題に触れていいかは、人が決めます。

もうひとつ、返信をそのまま送らないこと。苦情や質問への返信は、内容を確認してから出してください。誤った案内をすると、それが記録として残ります。

使える頼み方はこうです。

  1. 出す型を伝えて、その型での案を10個出させる
  2. 書いた投稿文を渡して、分かりにくい部分を指摘させる
  3. 第13回の禁止語を渡しておく

もう1つ。写真に何を書くかを考えるより、写真そのものを増やすほうが先です。文章はAIが手伝えますが、現場の写真は現場でしか撮れません。


つまずきポイント

全部のSNSをやろうとしないでください。第14回の通り、ペルソナがいる場所を1つか2つです。

同じ投稿を全部に流さないほうがいいのですが、手間との兼ね合いです。回らないなら1つに絞ってください。

炎上対策は事前に決めておくこと。誰が判断して誰が返信するかを決めておかないと、起きてからでは遅れます。


今回のまとめ


次にやること

第4部の最後は一度買った人に戻ってきてもらうです。第2回のLTVで「2回目があるか」と書いた話を、正面から扱います。

今回の宿題:自社のSNSの直近10投稿を見て、嫁子の3つ(見て分かる/やってみたい/損したくない)に当てはまるものが何個あるか数えてみてください。

嫁子: 最後にひとつだけ。私、いい業者を見つけたら人に言うよ。

それってSNSの数字には出ないでしょ。友達に直接LINEで送るからね。でも実際は、それが一番効いてると思う。

数字に出るところだけ見てると、一番効いてるものを見落とすかもしれないよ。