【第14回】出会う場所を地図にする|認知・比較・購入のチャネル(嫁子が教えるマーケ講座)

今回のゴール

第4部に入ります。第3部で何を売るかが決まったので、ここからはどこで出会うかです。全体の流れは講座の目次へ。


嫁子: 今日から、やっと外に出す話だね。

ただし最初に言っておくよ。新しい場所を増やす前に、今ある場所が壊れてないか見たほうがいいの。そこが今日いちばん伝えたいところ。


1. チャネルには2種類ある

会議で「チャネル」と言われたとき、実は2つの意味が混ざっています。

種類 何をする場所か うちの例
コミュニケーションのチャネル 出会う・知ってもらう 検索、広告、SNS、チラシ、紹介
流通のチャネル 買える・申し込める 自社サイトのフォーム、電話、予約サイト

第12回の4Pで言うと、上が Promotion、下が Place です。

この2つを混ぜると、会議の議論が噛み合いません。「チャネルを増やそう」と言ったとき、広告を増やす話なのか、申し込み方法を増やす話なのかで、やることも予算も違います。

営業から来ると、ここは感覚が違うところです。営業は自分から会いに行けましたが、マーケティングでやるのは待つ場所を作ることです。場所が足りなければ、会えません。


2. 段階ごとに、向く場所が違う

第6回のジャーニーで書いた段階に、チャネルを当てはめます。

段階 相手の状態 向くチャネル
気づく・調べる 自分でやる方法を探している 検索(記事)、動画
あきらめる 何もしていない 思い出してもらう手段(後述)
探す 業者を探し始めた 検索、地図アプリ、比較サイト
比べる 2〜3社で迷っている 自社サイト、口コミ
申し込む 決めた フォーム、電話

一番難しいのは2段目です。探していない人には、検索広告が届きません。検索していないのだから当然です。

ここに効くのは、SNSや動画のように探していないときに目に入るもの、あるいは一度接点を持った人へのメール(第18回)になります。

嫁子: 「あきらめる」のときに何かされても、たぶん動かないと思うよ。

ただね、そのとき見たものは覚えてるの。半年後に本気で探し始めたときに、名前を知ってる会社から見るからね。だから無駄ではないと思う。


3. 増やす前に、今ある場所を直す

ここが今回の本題です。

第12回で7Pを並べたとき、うちの Place はこうでした。

⚠️ 電話のみ受付・平日9〜18時

これを放置したまま広告を増やすと、何が起きるか。

第5回のペルソナを思い出してください。あの人が検索していたのは夜22時です。広告を見て、サイトに来て、申し込もうとして、電話しかないことに気づきます。

つまり広告費を払って連れてきた人を、入口で追い返していました。

やること 費用 効き方
広告を増やす 月30万円 連れてくる人が増える
24時間受け付けるフォームを置く ほぼゼロ 連れてきた人が落ちなくなる

穴の空いたバケツに水を足しても、こぼれる量が増えるだけです。

新しいチャネルを増やす提案は会議で通りやすく、フォームを直す提案は地味です。それでも順番は逆にしないでください。


4. どこで見つかっているかを先に調べる

「どこに出すか」を決める前に、今どこから来ているかを見ます。

見る場所は3つです。

  1. アクセス解析の流入元(検索・SNS・直接入力・他サイトからのリンク)
  2. 問い合わせ時の「どこで知りましたか」(アンケートの1問。第8回の形式で)
  3. 営業が聞いている話(「紹介で」「前に使った」など、データに出ないもの)

3番目が抜けがちです。うちの場合、契約の一定数が紹介経由でしたが、Web解析には一切出ていませんでした。紹介は流入元として記録されないので、数字だけ見ていると存在しないチャネルになります。

見つけたら、次はこう考えます。


5. 予算の配り方

全部に均等に配るのが一番よくありません。第4回で書いた「30万円を全方位に薄く配る」の話と同じです。

現実的な配り方はこうなります。

枠 割合の目安 中身
効いていると分かっている場所 大きく 検索広告など、数字が取れているもの
試している場所 小さく 新しいSNS、動画など
測る仕組み 少し 計測の設定、電話の記録

割合の数字は自社の状況で変わるので、ここでは出しません。大事なのは、試す枠を先に小さく確保しておくことです。確保していないと、新しいことを試すたびに主力の予算を削る話になり、結局何も試せません。


6. AIに任せるとき

チャネルの候補出しは得意です。「ハウスクリーニングの集客チャネルを段階別に」で一覧が出ます。

ただし、返ってくる一覧には必ず自社で使えないものが混ざります。テレビCM、交通広告、大規模なインフルエンサー起用。予算が合いません。

なので先に条件を渡します。

  1. 月の予算の上限
  2. 社内で運用できる人数(1人なら、SNSを3つ同時には回せません)
  3. 第5回のペルソナ(その人が実際にいる場所でないと意味がない)

3番目が大事です。ペルソナがいない場所に出す提案は、全部無駄になります。

点検はこうです。出てきたチャネルを1つずつ「うちのペルソナは、そこに実際にいるか」に通してください。いなければ、どれだけ流行っていても外します。


つまずきポイント

チャネルを増やすと運用の手間も増えます。 SNSを3つ開設して全部止まっている会社は珍しくありません。回せる数から始めてください。

「若い人はテレビを見ない」のような一般論で決めないでください。自社のペルソナがどこにいるかは、4節で調べたことが答えです。

紹介経由は測れていないだけで存在します。数字に出ないものを「無い」と扱わないでください。


今回のまとめ


次にやること

次回は検索で見つけてもらう仕組みです。うちの流入で一番大きかった検索を、正面から扱います。

今回の宿題:自社の申し込み方法を書き出して、何時まで受け付けているかを確かめてください。夜と休日が空いていたら、そこが一番安い改善点です。

嫁子: 3節の話ね、買う側からすると本当によく分かるよ。

夜に調べて、いいなと思って、電話しかないと分かった瞬間に閉じるからね。翌日にかけ直すことは、まずないよ。

広告で見つけてもらうより、見つけた人を逃さないほうが先だと思う。