【第30回】1年後の自分に渡すもの|最終回(嫁子が教えるマーケ講座)

今回のゴール

最終回です。全体の流れは講座の目次にまとめてあります。


嫁子: おつかれさま。ここまで来たね。

最初の回で、あなたCPAとLTVが並んでる資料が読めなかったでしょ。今は両方とも、自分で計算して人に説明できるはずだよ。


1. 1年で変わったこと

営業部からマーケティング部に移って、最初に困ったのは資料が読めないことでした。

今も分からないことはたくさんあります。ただ、はじめにで書いた目標は達成できたと思っています。

AIに的確に指示して、返ってきたものを判断できるようになること

コピーも資料も分析も、実作業のかなりの部分はAIにやらせています。それでも困らなくなったのは、返ってきたものを止められるようになったからです。


2. 今なら、こう言えるはずです

AIが出してきたものに対して、こう言えるようになっていれば十分です。

この6つです。全部「止める」側の言葉なのが、たぶん重要なところです。

AIは前に進める提案をいくらでも出します。止める判断だけは、こちらが持っていないと誰もやりません。

はじめにで「AIは止める理由を自分から出しにくい」と書きました。1年やってみて、ここが一番変わらなかった部分です。


3. 営業のやり方は、結局どうだったか

講座を通して、営業とマーケの違いを毎回持ち出してきました。最後にまとめます。

営業 マーケティング
相手 目の前の1人 会ったことのない多数
修正 その場で言い方を変えられる 出した後は直せない
結果 翌日には分かる 数字が返るまで時間がかかる
手柄 自分が取ったと分かる 誰の成果か分からない

通用しなかったのは道具で、身につけたものは全部使えました。

第28回で書いた通り、営業出身であることは終始有利に働きました。ペルソナが現実にいるかを判断できたのも、失注理由を聞いて回れたのも、第5回や第7回の材料が社内にあると知っていたからです。

異動は、持っているものを捨てる作業ではありませんでした。


4. どこに戻ればいいか

これから困ったときのために、地図を置いておきます。

困ったこと 戻る回
会議の言葉が分からない 第2回
誰に売るかが決まっていない 第4回〜第8回
言葉が薄いと言われた 第9回・第13回
値下げを求められた 第11回
広告を出すか迷っている 第16回
数字の報告で詰まった 第19回〜第22回
効果があったか分からない 第23回
表現が大丈夫か不安 第25回・第26回
営業部と噛み合わない 第28回

第29回で書いた通り、この表自体も更新してください。制度も相場も変わります。特に法律の3回(第25回〜第27回)は、読み返すときに必ず最新を確認してください。


5. まだ分かっていないこと

正直に書いておきます。1年では届かなかったものがあります。

ブランドの作り方は分かりませんでした。 短期の数字は追えるようになりましたが、何年もかけて名前を覚えてもらう作業は、まだ手がついていません。

大きな予算の配分も未経験です。 月30万円の話はできても、桁が2つ上がったときに同じ考え方でいいのかは分かりません。

組織を動かす部分も弱いままです。 第28回で書いたのは、あくまで1人で動いた範囲の話です。

分かっていないことを、分かっていないと書けるようになったのは、第23回の効果だと思っています。


6. 最後に、AIとの付き合い方

この講座は「AIに実作業をさせる前提」で始めました。1年やって、線引きはこうなりました。

任せていい 自分で持つ
調べる・整理する・計算する 誰に売るかを決める
下書きを作る・書き換える 出していいかを判断する
抜けを指摘させる 数字を信じるかを決める
分け方の候補を出させる やめる判断

右の列は、取り返しがつかないものです。第3回で引いた線が、1年たっても変わりませんでした。

もう1つ、思っていたより効いたことがあります。材料を渡せるかどうかで、返ってくるものの質が変わることです。

第1回で「うちのマーケ部は何をする部署か」を確認し、第5回で行動を集め、第20回で費用を全部足しました。この作業をやった分だけ、AIの答えが使えるものになりました。

原理を知る意味は、自分でやるためではなく、渡せるようになるためでした。


今回のまとめ


この講座はここまでです

30回おつかれさまでした。

次に何をするかは、決めなくていいと思っています。第29回で書いた通り、困ったときに戻る場所が分かっていれば十分です。

最後の宿題:第29回の3行の型で、この1年で決めたことを1つ書き残してください。1年後の自分が読みます。


嫁子: じゃあ最後に、先生としてと、買う側としての両方から言うね。

先生としては、もう教えることはあまり無いと思う。全部を知ってる必要はなくて、聞く相手と戻る場所が分かってればいいからね。分からないことが出てきたら、そのとき調べればいいんだよ。

それと、買う側として最後にひとつ。

この30回でいろいろ文句を言ったけど、私が言い続けたのは1つのことだと思う。こっちを、実際にいる人として扱ってほしいってことだよ。

「30代女性」でもなく、「ターゲット層」でもなくてね。換気扇の油に困ってる人として話しかけてくれれば、ちゃんと届くよ。

それができる人が作った広告は、買う側としても悪くないと思ってる。おつかれさま。